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編年(3) [序叙]

 現代史の探求においても、編年の指標を策定する作業は、作成された編年表以上の価値を持っている。何を加えるかではなく、何を残すか、という作業であるからだ。
 時代を表徴する利器から何を削ぎ落とすか、何を優先し重きを置くかを論じるプロセスそのものが、時代を分析することに通じる。
 文献に基づく検証は、文献そのものの生い立ちを確認し、文字を判読し、文の意味を理解し、社会的事象を再構築する作業を指している。場合によっては墨や紙の材質、製法すら科学的手段で解析しなければならない。誤解を受けやすいのだが、一般にこの作業は「文献批判」と呼ばれ、合理的な解釈の形成に欠かすことができない。
 最後の総合的な評価は、物にかかわる知見と文献に基づく検証によって得られた情報をもとに、その時代の印象や風景を、社会全般に広げて論証することである。別の言い方をすれば、「社会の再現」ということになろうか。
 以上の認識をIT産業に適用すれば、物にかかわる知見と文献に基づく検証にはこと欠かない。残るのは総合的な評価だが、物と文献が溢れ、情報が錯綜する現在、至難であるのはむしろ「過ぎたるを削り評を定める」の作業であろう。
 そこで「編年」(ないし指標)が再び重要な役割を果たす。むろん、計算機の演算機構をもって世代を論じる編年は、すでに存在する。

●真空管=第1世代
●トランジスタ=第2世代
●IC/LSI=第3世代

 真空管の前に電気で動くパンチカード式計算機械装置があり、蒸気機関と歯車で動く計算機械があり、さらに手廻しの手動式ギア計算器があった。さかのぼれば道端に落ちている石や山に生えている木の葉っぱが計算機の原点ということになる。

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