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千年の時空(1) [序叙]

 一般に電子計算機の始まりは、1946年に完成したENIACであるとされる。それから現在までの60年間を、仮に「コンピュータの時代」とする。一方、数学の理論に基づく「計算のための機械的な仕掛け」は、17世紀前半から始まったとされる。以来、ENIACまでのおよそ320年間が、コンピュータにとっての「前史」に相当する。
 その前史についてエポックを拾うと、次のような編年ができあがる。すなわち、


 ●第1期=原始的計算道具(ネピアまで)
 ●第2期=手動式歯車計算装置(ライプニッツからコルマーまで)
 ●第3期=理論的歯車計算装置(バベージからオドナーまで)
 ●第4期=パンチカード式計算機械装置(ホレリスからブッシュまで)

 詳しくは後述する。
 そこで――。
 本章では計算機でなく、時間と空間について論じたい。

 時間の長さは、単純に地球の回転数では比較できない。
 19世紀末においてさえ、最も普遍的な交通手段は「歩く」ということだった。
 太古から川や砂浜、あるいは山の尾根は情報と物品、つまり文化を伝える道となった。筆者が住む町には尾根を伝うハイキングコースが数多くあって、その道を行くと平地を行く時間の半分以下、ときには3分の1以下で、思いもしない遠くの神社や寺の前に出ることができる。平安末期からしばらく、僧兵が力を発揮し得たのは、尾根伝いに情報を伝達する路を確保していたからにほかならない。実に江戸末期にいたるまで、こと交通に関して平野というものは役に立たなかった。

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