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情報と知識(1) [序叙]

 情報化とは何か――という話題には、ここでは触れない。この言葉は社会・経済の諸相だけでなく、人の心のありようにもかかわるためだ。そこでここでは話を進めるために、「情報と知識」という言葉に置き換えておく。

 この地球上で、人間が他の動物と異なるのは、火を自在に操ることである、といわれる。
 水を巧みに利用する能力もまた、人間を他の動物と隔てる要素である。自然界で水を堰き止めることができるのは、せいぜい川獺かビーバーの類でしかない。
 おそらく最初は偶然をきっかけに、人や動物はヒントを得る。そのヒントが単体からグループを構成する複数に共有されたとき「情報」となり、さらにそれが蓄積され体系化されたとき「知識」になる。
 川獺やビーバーは遺伝子に組み込まれた知識に基づいて川の流れを堰き止める。川を堰き止める資材がどこにあるかという情報がもたらされると、彼らは行動を起こす。
 宮崎県青島に住む野生の猿は、芋を与えられると海水で洗ってから食べる。海水で洗うと甘味が増すことを発見した単体の猿が群れに教え、母猿が子猿にそのことを教えた。
 そうして代を重ねた結果、芋を海水で洗うという情報は、この地の野生猿の知識になった。野生動物の生態研究は、「情報」と「知識」の形成と獲得のプロセスおよび、「情報」と「知識」の位置関係を見るのに都合がいい。
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