情報と知識(3) [序叙]
ともあれ、文字。
この国においては、江戸の寺子屋で庶民が筆を覚えるまで、文字というものは特権階級に独占されていた。読み書き算盤ができるというだけで一目も二目も置かれ、立身出世の足がかりだった。
対して現代はどうか。
識字率は100%に達し、筆記の道具や利器はあふれるほど普及している。加えて国の統計があり、白書が定期的に刊行され、企業や団体が年史を発行し、容易に出版をすることができる。企業や団体の年史、研究報告書、調査統計、新聞や雑誌の記事にいたっては枚挙にいとまがない。
ワープロ、あるいはパソコン。
大容量メディア。
インターネット。
こんにち、記録と情報にはこと欠かない。
それぞれに役割と目的があり、扱っている内容に大きな過誤はないであろう。だがある書籍は機械装置に焦点を当て、ある書籍は技術に終始し、ある書籍は人物に偏る。あるいは社史などでは〔ご都合主義〕的な表現が紛れ込まないとは言い切れない。
かつての戦国乱世には、敵情を理解するため、あるいは撹乱するために、その代償として人命という対価を支払っていた。人がすなわち知識であった時代、大小名は人を養うのに米俵を宛がった。
ところが機械の仕掛けが人に取って代わるようになったとき、人々は機械装置の値段に知識の対価まで含まれるという錯覚を持った。
この国においては、江戸の寺子屋で庶民が筆を覚えるまで、文字というものは特権階級に独占されていた。読み書き算盤ができるというだけで一目も二目も置かれ、立身出世の足がかりだった。
対して現代はどうか。
識字率は100%に達し、筆記の道具や利器はあふれるほど普及している。加えて国の統計があり、白書が定期的に刊行され、企業や団体が年史を発行し、容易に出版をすることができる。企業や団体の年史、研究報告書、調査統計、新聞や雑誌の記事にいたっては枚挙にいとまがない。
ワープロ、あるいはパソコン。
大容量メディア。
インターネット。
こんにち、記録と情報にはこと欠かない。
それぞれに役割と目的があり、扱っている内容に大きな過誤はないであろう。だがある書籍は機械装置に焦点を当て、ある書籍は技術に終始し、ある書籍は人物に偏る。あるいは社史などでは〔ご都合主義〕的な表現が紛れ込まないとは言い切れない。
かつての戦国乱世には、敵情を理解するため、あるいは撹乱するために、その代償として人命という対価を支払っていた。人がすなわち知識であった時代、大小名は人を養うのに米俵を宛がった。
ところが機械の仕掛けが人に取って代わるようになったとき、人々は機械装置の値段に知識の対価まで含まれるという錯覚を持った。
2009-10-14 16:04
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