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情報と知識(4) [序叙]

 この錯覚がいかなる理由、原因によってもたらされたか、それが社会・産業・文化・生活とどのように響き合ったかを探ることも、また意味なしとしない。 むろん情報化の進展には、常に新しい技術があり、新しいハードウェア、ソフトウェアがあり、それがネットワークと結びつき、さらに今日的ファクターを加えるならICチップやセンサーや画像認識技術がある。
 ――情報処理から知識処理へ。
 というようなキャッチフレーズは、すでに過去のものになりつつある。なるほど技術の進展は著しい。だが、分かりやすくいうと、それがナンボのもんやねん、なのである。
 新しい利用方法を考えたプランナー、決断を下した経営者、基本的な考え方を示した識者や啓蒙者がいたはずではなかったか。
 結果として筆者は、社会・産業・文化・社会から視点を外すことなく、人と人が織り成した出来事と時代の息づかいを語りたいと考えるようになった。
 いずれにせよ本書が担うのは、およそ次のようなことであろう。
 すなわち、
 一に過ぎたるを削り評を試み
 二に断代史を蒐集して通史となし
 三にその要処を総覧すること
 というわけだ。
 書名を思いついたとき、わたしは、「日本のIT産業の生い立ち、という意味でいい名前ではないか」と悦に入っていたのだった。だがよくよく考えると、あまりにおこがましく、かつ図々しい。というのは、2つの理由によっている。
 第一は『日本書紀」の名を襲うのは学術的な研究論文に限られるということだ。本書のような援用というのは例がない。
 第二は、発刊するこんにちただいまの時点で、筆者の手許に間違いなく文字として形があるのは、1970年代後半までのことでしかない。筆者においては西暦2000年の12月31日をもって収束する予定であって、しかも本書は副題に【通史要覧】と名づけたごとく、構想の一部であるに過ぎない。つまるところ筆者において本書を完成させる十分な自信がない。にもかかわらず、私家本としてであれ、世に出すのはなぜか。
 ――いやさ、心意気を示すのである。
 ということで、了解してもらうほかあるまい。
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